ショパンがジョルジュ・サンドと滞在したマヨルカ島を、ピアニストのフジコ・ヘミングさんが訪ねるドキュメンタリーを見ました。
愛するショパンをより深く感じたいと念願叶っての旅。聴力に気圧による影響を避けるため、時間をかけて陸路にて。何歳になっても冷めることのない情熱が素敵でした。
光降り注ぐスペインのイメージに反してマヨルカ島には雨季があり、止まぬ雨による湿気と寒さは心身を蝕みました。二人にとって辛い思いが多い地。ここで作曲されたという「雨だれ」は、長くはないショパンの命を暗示しているようにも聴こえ、静かに孤独を受け入れているかに感じられました。
長生きしてもそうでなくても、人生はあっという間で短く感じるものだと思います。一方、たったここまでの自分であっても、時にとても長く感じることがあります。
編み物、縫い物、長い髪。〈長くからまるもの〉は、何にせよ苦手です。どんな性分であっても毎日陽は昇ります。心に火を灯し続けるものは、ありますか。
( 心が生きているとき、一体何を不満に思うことがありましょう? サンド)
「ジョルジュ・サンドからの手紙―スペイン・マヨルカ島、ショパンとの旅と生活」
読書空間 ひつじ日和