白洲正子「西行」

 

今も昔も人気のある西行さん。
その理由は自由人であったことでしょうか。
そして自然をこよなく愛します。
自由であることは難しく、特に現代の方がとても困難なのでしょう。
自由であることは全てを引き受けることでもあります。

 

西行の魅力を余すことなく伝える白洲正子。
あちこち旅をし想像を膨らませます。
800年も前なのにわりと文献が残っている人物でしょう。
(正確かどうかは別にして。)
それでもなかなかはっきりとした輪郭を描くことができません。
さらに魅力を増す理由なのかもしれません。

 

西行公園という場所に行ったことがあります。
車が一台やっと通れるだけの急な山道を登り切った場所に、こじんまりした広場がありました。
富士川がすぐ脇を流れ、富士山の頭がちょこっと見える場所です。
かつて西行さんが滞在したとか。
人気がなく、長らく遊ばれていないであろう遊具が寂し気な雰囲気を漂わせています。

 

何事のおわしますかは知らねどもかたじけなさの涙こぼるる

 

白洲正子「西行」

 

「人間は孤独に徹した時、はじめて物が見えて来る、人を愛することができる。」

 

「一首読み出でては一体の仏像を造る思ひをなし、一句を思ひ続けては秘密の真言を唱ふるに同じ」

 

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