ショパンの恋人として名を知ったジョルジュ・サンド。その素顔を少しでも知りたい気持ちで手に取りました。
生まれや育ちの環境から貴族的なものと庶民的なもの双方を解し、人が中年になってから対峙するであろうさまざまな感情や状況に、十代にしてふれることを余儀なくされます。
それゆえ、陰陽諸々経験幅広く、寛大かつ繊細。多くの人々が賛美する理由が次第にみえてきます。
自分の心の声を聴く勇気を常に持ち続け、生きる糧であり続けたサンドの愛の先には、個人の愛を超えた家族愛や人類愛まで存在。
孫娘のために書いたというサンドの作品「花のささやき」を読んだ時に感じた天使の一面。今回この書籍を通じて一面ではなく、強く優しく愛のレベルが拡大していく生き方をしたひとりの人間だった、ということが鮮明になりました。
アトラン さやか 「ジョルジュ・サンド 愛の食卓:19世紀ロマン派作家の軌跡」
読書空間 ひつじ日和