2016-01-01から1年間の記事一覧

宮本輝「星々の悲しみ」

宮本輝さんのエッセイを読んでいて、「西瓜トラック」のことが出てきました。 確か読んだことがあったはずなのだけれど、全く思いだせず、再読しました。 短編7つありますが、どれも覚えてませんでした。 2回目なのに初めてみたいに読めました。 そしてどれ…

宮本輝「生きものたちの部屋」

宮本輝さん、もうエッセイは書かないようなことを読んだことがあります。 かつて書いていた時のものですね。 こだわっていることや小説を作り出す苦悩、家族のことから阪神談震災のことまで。 西瓜トラックは読んだことあるような気がするんですが、思い出せ…

ジャレド・ダイアモンド「昨日までの世界 下」

人間はこの10万年の間に、非常にゆるやかな変化を遂げてきた。 生活の仕方も、体の状態も。 それがここ200年くらいで急激な変化にさらされている。 そのためにいろんなところに歪が出てきている、というのがこの本の内容ではいか。 言語、食生活の章が面白か…

ジャレド・ダイアモンド「昨日までの世界 上」

ニューギニア島、少数で伝統的生活をしている人たちがどんな生活を送っているのか。 それらを分析、現在の先進国社会と比較することにより人間とはどんな生き物なのかを述べています。 上巻は主に、争い、子育て、高齢者への対応、の3つに分かれています。 …

福岡伸一「動的平衡 ダイアローグ」

知識人8人との対談集。 すごい人達ばかり。 鋭い考えが見え隠れします。 ただ限定された紙面の中に8人分を詰め込み過ぎてしまったのでは、という感じがします。 若干の物足りなさと、対談ならではのじれったさがありました。 動的平衡を理解するには福岡ハカ…

高橋源一郎・内田樹選「嘘みたいな本当の話」

先日、ポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」のコメントで、この本があることを教えていただきました。 早速読みました。 中にはぞぞっとするものがありますね。 面白いです。 日本の方が平坦な感じがするのはなぜか。 内田樹氏は、…

「悪役 世界でいちばん貧しい大統領の本音」

ウルグアイ。 人口340万人(静岡県よりも少ない) 再生可能エネルギー率 95%。 その国の大統領をしてた、ホセ・ムヒカの半生記。 先日日本にもやってきました。 「私は決して貧しくない。質素を好むだけだ。」 「私の優先課題は貧富の差をなくすことだ。」 …

福岡伸一「やわらかな生命」

先日豊橋市自然史博物館に行きました。 とても充実した展示物で、時間が足りず、また行きたい場所となりました。 そういえば福岡ハカセがこの自然史博物館のことについて書いていたな、と思いだし、読みました。 P65にありました。 エドモントサウルスの化石…

東山魁夷「日本の美を求めて」

井上靖氏の「額田女王」を読んでいる途中でこの本をぺらぺらとめくってみていました。 偶然「やまとうるはし」の章を読み、この二つの本は繋がっている、となんとなく思いました。 一度読んでいる本なのですが・・。 読んでみてやっぱり額田王出てきました。…

井上靖「額田女王」

大化の改新後の中大兄皇子とその周辺を描いた物語。 白村江の戦いを経て、壬申の乱で終結します。 中大兄皇子と大海人皇子の皇室兄弟二人から愛されたかもしれない額田女王の視点が面白い。 すごい時代ですね。 実際はどうかわかりませんが本当にこうであっ…

長嶋有「タンノイのエジンバラ」

長嶋有さんの物語はその辺ですれちがいそうな人ばかりです。 等身大、現実。それが良い味を出します。 比喩とかちょこっと出てくる話題が、とてもマニアックです。 バルセロナオリンピックのコビーなんてすっかり忘れてました。 セリヌンティウスとか、エリ…

ポール・オースター「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」

世の中にはすごいことが沢山起きているんですね。 日本でも同じようなことをやったら相当面白そうです。 夢で何かを知ることが以外に多いと思いました。 未知の能力がたくさんあるのではないでしょうか。 最後の「ありきたりな悲しみ」のように、物語になる…

辺見庸「水の透視画法」

長野県に住んでいる時、信濃毎日新聞を取っていました。 結構良い新聞で、そこにこのコラムが掲載されていました。 自分の生活周辺から、世界情勢まで、その内容は多岐にわたります。 空飛ぶ蜘蛛の話が出ていてびっくりしました。(58ページ) 去年宮本輝さ…

小川洋子、平松洋子「洋子さんの本棚」

岡山生まれの二人の洋子さんが、本をつまみに、人生を語ります。 二人の知識と感性がすごいですね。 ただ対談なので気を遣っている感じがまどろっこしいです。 女性が読むと楽しい本かもしれません。 紹介されている本は参考にします。 洋子さんの本棚 (集…

石坂昌三「象の旅 長崎から江戸へ」

江戸時代に長崎から江戸まで象が歩いたんです。 びっくりです。 京都では天皇に謁見するために位をもらいました。 「広南従四位白象」 浜松も通過しています。 ただ、姫街道を通ってきているので、お城付近には近寄らなかったのでは。 今の浜松IC付近で天竜…

生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村

伊藤若冲と与謝蕪村。 二人が同じ歳に生まれているなんて。 二人とも一時期京都の烏丸付近に住んでいたそうです。 900m位の距離だとか。(190ページ参照) ただ、交遊の記録はないとのこと。 池大雅、上田秋成は共通の友人だとか。 本当は交遊があったのかも。…

山田宗樹「嫌われ松子の一生」

なかなかこんな人生ありませんね。 もう少しどこかで踏ん張れなかったのでしょうか。 前半はかなり冷や冷やしました。 後半はかなり慣れました。 いろいろありすぎて、それはないんじゃないかって思ってしまいました。 先生を続けていた場合だって劇的な人生…

司馬遼太郎「十六の話」

長らく家の本棚に眠っていたのですが、先日呼ばれた気がして手にとって見ました。 公演や弔辞やそのたエッセイ風のものが16個入っています。 司馬氏の知識に圧倒され、そして偶然もあり、不思議な感じです。 日本ではじめてアメリカに渡った軍艦、咸臨丸のこ…

荒井魏「良寛の四季」

良寛さんに惹かれるのはなぜでしょうか。 現代からすると超人的な生活ですが、あこがれもあります。 そこまで割り切れたらすごい。 良寛さんの概要を知るには良い本でした。 漢詩をもう少し知りたいと思います。 五合庵にも、乙子神社にも行ってみたい。 良…

枡野俊明「禅 心の大そうじ」

禅語は生きて行く上で実践すべき大切なことがらが多いと感じます。 直ぐに忘れてしまうし、実行もなかなか大変ですが。 何度も読み返し、自分の血肉としなくちゃいけませんね。 枡野さんの本はどれも良いものばかりです。 ・洗心 ・放下着 ・三心(喜心・老…

桑原 博史「西行物語」

鎌倉時代に作られた伝記物語。 フィクションの要素もあるようです。 大枠は西行さんの生涯にそっているようですが。 天竜川を渡ったり、小夜の中山が出てきたり、静岡県内もいくつか登場します。 本の構成ですが、各章毎に、 原文 現代語訳 語釈:各語の注記…

星亮一「井伊直弼」

来年(2017年)NHKの大河ドラマは「井伊直虎」です。 井伊家は引佐(現浜松市)にある井伊谷にゆかりがあります。 家康に取りたてられ彦根へ移ります。 その子孫の井伊直弼。 幕末に安政の大獄、桜田門外の変で知られていますが、詳細は知りませんでした。 …

佐藤俊明「心にのこる禅の名話」

昔の、特に中国の名のあった僧侶の逸話が禅語の成り立ちとなっています。 その逸話がいくつか掲載されています。 後半は日本を中心としたすごい坊さんの話ですね。 なかなか真似できるものではありません。 現在こういう方はいらっしゃるのでしょうか。 ネル…

ジョーン・G・ロビンソン「思い出のマーニー」

映画をながらで観て、これは読まなければいけない作品だと思いました。 いろいろな問題をかかえた少女が、ノーフォークの自然と、そこでの経験を通じて、変化していきます。 実際の場所に行きたくなりますね。 ワンタメニーが良い味を出しています。 特装版…

パパラギ

今の物質文明にさらされていない人から見れば、現在の先進国、新興国にはおかしいことがたくさんあるはずです。 しかしその逆も成り立ちます。 突然何もない場所に放り出されても生きていけない。 しかし、なぜ生きていくか、という目的はそんなに違いはあり…

川端康成、三島由紀夫 往復書簡

手紙のお手本にしたいような心のこもった往復書簡です。 かと言って、手紙を出すような機会はないのですが・・。 タイトル通り、両者による往復書簡集です。 三島由紀夫がまだ若かったころから始まり、自害する直前までやりとりがあります。 三島由紀夫が無…

須田桃子「捏造の科学者」

予算が減っていき、その獲得に奔走する理研。購読者が減っていき、スクープしか念頭にない毎日新聞。おなじく存在価値を見いだせないネイチャー。どれも同じ問題をはらんでいるように感じます。その結果の出来事では?須田氏は、自身の取材が(ほんの一部か…

三島由紀夫「レター教室」

手紙のみで成り立つドタバタ劇。 わはは、と楽しめる感じです。 手紙はタイムラグがあるので、成り立ちます。 SNS(特にライン)では、なかなかこの味は出ないと思います。 (ラインやったことないので、なんとも言えませんが) 手紙のレッスンには・・、あ…

カズオ・イシグロ「夜想曲集」

カズオ・イシグロの作品の短編は初めてだったので、あまり期待していませんでした。 だからなのか、予想に反してなかなか良かったです。 音楽をテーマにしているのも良いですね。 男女の複雑な関係もからみあっています。 それぞれ終わり方の余韻も好きです…

村上春樹「村上さんのところ」

去年、このサイトを知ったときには、もうすぐ終わりの時でした。 最近になり本が出ている事を思い出し、読みました。 「そうだ、村上さんに・・・」シリーズと同じように、読者からのいろんな質問に回答します。 相変わらず、なるほど、と思わせる回答っぷり…