ささやき

 
(ショパン、泣いてる)
 
ジョルジュ・サンドといえばショパンの恋人でしたね。
たまたま手にとった百年文庫の中に、彼女の作品「花のささやき」がありました。
知らなかった、作家さんだったのね。
 
 
(百年文庫からの変化球は、読書を豊かにしてくれます)
 
 
晩年のサンドが孫娘のために書いたお話。
花の声が聴こえるという設定のメルヘンです。
 
 
サンドは「悪女」から「天使」まで評判は分かれるそうですが、結核に冒されたショパンに献身し、彼に最も影響を与えた女性のひとり。
 
 
他の作品や人物像をよく知らないので何とも言えませんが、このお話を読む限りでは「天使」の一面を感じます。
 
 
隣で娘が発表会のために練習しているノクターンのせいかな。
すっかりロマンチックな気分に。
 
 
花のささやきが聴こえるお話を可愛い孫のために創作する老婦人。
その感性はかつてショパンを愛した経験からも磨かれたのかしらと想像は膨らみ、優しい気持ちにさせてもらいました。
 
 
ショパンの没年は1849年。
サンドの没年であり、このお話が収められた童話集「祖母の物語」が刊行されたのは1876年。女性はやはり長生きですね。
 
 
自分の内面をあまり他人に明かすことはなかったというショパン。
ショパンの秘めた心のささやきもわかってあげられたのでしょうか。
 
 
病や死が隣り合わせ、争いや革命の時代を生きた人たちを想像してみることは、不思議と今を生きる力にもなり得る気がしました。
 
 
このところ、胸が苦しくなる連日の報道に絶望的な気分でしたが、平和はひとりひとりの内側の調和からだと信じる力を、勢いよく咲いたフリージアの花からもらいました。
 
(フリージアから聴こえた声は…)
 
 
 
 
 
 
モンゴメリー, ジョルジュ・サンド , タゴール「百年文庫 森」
 
 

遠山一行「カラー版作曲家の生涯 ショパン」

 
 
 

坂本龍一 他「非戦」

 

 
 
 
 
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