2015-01-01から1年間の記事一覧

宮本輝「錦繍」

錦繍 という文字が良く似合う物語です。 人間は時々、本心とは違ったことを言ったり、行動をしてしまったりします。 それが大切な人の前であればあるほど。 手紙というものは、時間をかけられるので、その影響が少なくなります。 手紙って良いですね。 読書…

城山三郎「落日燃ゆ」

日本は憲法第9条の解釈を変更しようとしています。 本当にそれで良いのでしょうか。 この本を読むとそのヒントが隠されている気がします。 たとえ誰かが平和的に、外交にて解決しようとしても、軍事力を持っているとどうしてもその力で解決したくなるもので…

マイケル・ブース「英国一家、ますます日本を食べる」

前作、”英国一家、日本を食べる”に引き続き、コミカルなのに深いという面白い本でした。 2冊で1冊と考えた方が良いですね。上、下巻。 時系列はばらばらですが。 基本調味料について、やっぱりこれにはコストをかけるべきだと思います。 まず美味しさが違い…

村上春樹「女のいない男たち」

なぜこのタイトルか、まえがきを読んでみてください。 なるほど。 そして読み終えて、なるほど。 どの作品も先が気になってつい読んでしまいます。 少し怖い感じのものもありますね。 誰もが満たされない何かを抱えて生きています。 確か、北海道の実在の地…

大とろ?大うそ?

日本食の真髄を知るために、家族で来日したマイケル・ブースさん。 東京、北海道、京都などに滞在します。 京都での出来事。鯖寿司で有名な店を探しに行きます。 しかしタクシーの運転手もギブアップしたくらいわかりにくい。 歩いている人にそのお店の場所…

マイケル・ブース「英国一家、日本を食べる」

NHKオンデマンドで、子供たちがこのアニメを熱心に見ていました。 ちょっと見てみたら面白かったので早速本を読んでみました。 英国出身のマイケル・ブースさんが、奥さんと子供たちを連れて日本の食べ物を楽しみます。 おもしろおかしく書いている箇所も結…

吉田篤弘「78」

SPレコードなんて知りませんよね。 蓄音器すら見たことがありません。 でも、音の臨場感は違うみたいです。 SPレコードにまつわるいくつかの話。 ドーナツの美味しいコーヒー店。 SPレコード専門店。 法螺を語る古道具店。 オーダーメイドの靴屋。 夜の塔。 …

青柳恵介「風の男 白洲次郎」

安保関連法案が通ってしまいそうです。 日本はいったいどうしたらよいか。 それは先の戦争の前にヒントがあるのではないか。 そう思ってこの本を読みました。 結果的には、白洲次郎がかっこよいとうことが記載されており、そんなに当時の背景は乗っていませ…

ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」

7年ぶりくらいかな。 2回目なのにほとんどなにも覚えていませんでした。 インド系の人が書いた、ということくらい。 短編が9個。 どれも日常の些細な心の痛みみたいなものをうまく書いています。 「三度目で最後の大陸」はなかなかでした。 老婆のお陰で、そ…

ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」

100年くらい前の作品ですが、現在の方がこういう状況が多いのではないでしょうか。 人より優れるとはどういうことか、希望と絶望の繰り返しによる心の変化、それに耐えうるかどうか。 ハンスは勉強よりも、もう少し心を強くする何かをする必要があったんだと…

獅子文六「コーヒーと恋愛」

何気なく読み始めて、時代が古いことに驚きました。 昭和30年代に新聞連載されていた小説だそうです。 テレビが珍しく、コーヒーも庶民に知れ渡り、海外旅行は選ばれた人だけ、と言った背景が分かります。 コーヒーに関してはいろいろと出てきますが、恋愛は…

スティーヴン・キング「ゴールデンボーイ」

久々に読みました、スティーヴン・キング氏。 「刑務所のリタ・ヘイワース」は、映画「ショーシャンクの空に」の原作です。 映画も良かったけれど、原作も良いですね。 「ゴールデンボーイ」はどんな作品か知らず、手さぐりで読み始めました。 どこへ行くん…

枡野俊明「美しい人をつくる「所作」の基本」

いろいろと考えさせられる、良い本だと思います。 背筋を伸ばして、日々、丁寧に生きて行かなければ。 そのヒントが書かれています。 やはり情報に囲まれた時代なので、少し制限するくらいがちょうどよいんだと思います。 そして自分の頭でしっかり考えるこ…

福岡伸一「世界は分けてもわからない」

2015/7/13 視線はなぜ感じるのか。 ランゲルハンス島の周りで作られる酵素は。 コルティジャーネの謎。 モザイク、マッハ・バンド。 全てがスペクターの話に繋がってゆきます。 視線は本当にそういう理屈で感じるのでしょうか。 2014/10/27 博学な福岡博士。…

サイモン・シン「フェルマーの最終定理」

300年以上誰にも証明できなかったものを、どうやって証明するに至ったか。 フェルマーの時代よりもさらに前、古代ギリシャまで遡り、数学の歴史とともに大きな証明をの謎を紐解いてゆきます。 数学をちょっとかじったことのある人なら理解でき面白い内容だと…

ウィリアム・サマセット・モーム「マウントドレイゴ卿/パーティの前に」

モームの短編集。 6編入っています。 どれも、どうなっちゃうんだろう、と続きが気になります。 短編なのですぐに読めるのも良いですね。 名手、モームです。 「雨」は、今日は雨模様なのでちょうど良いです。 暑さはありませんが。 南の島の湿度たっぷりの…

森絵都「宇宙のみなしご」

確か屋根に登るシーンがあったな、と思いながら、詳細を忘れてしまったのでまた読みました。 何回目かになりますが、最初に読んだ時が一番良かったと思います。 姉弟の関係とか、友達との関係とか、そういうのは感心しました。 屋根って中学生くらいには魅力…

福岡伸一「生物と無生物のあいだ」

2015/6/30 再読しました。 いずれの内容もさらに理解が深まりました。 ぼくらが自分では分かっていなくとも、体の中の機能は緻密な働きをしています。 ここ2年近く動的平衡というものに注目しています。 生物に限らず、よい組織の条件ではないかと思います。…

映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」

二十数年ぶりに観ました。 当時は本当の意味は分かっていなかったはずです。 今回はとてもよく判りました。 人種というのはほんの些細な問題です。 所有という概念があると争いが起きます。 こういう差を乗り越えることは、人間にはできるのです。 現在の日…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟 第四巻」

読み終えました。2回目のカラマーゾフ。 1回目は新潮文庫でしたが、2回目は岩波文庫で。 岩波文庫の方が訳が古い感じがしましたが、面白さは変わりません。 4巻はミステリー小説みたいですね。特に裁判が。 それにしても登場人物がよくしゃべります。 全体を…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟 第三巻」

第3巻まで来ました。 この巻は前の2巻とはちがってスピード感を保ちつつ読めると思います。 人物背景がわかった上に、ミステリー的内容だからでしょうか。 今回の方がドミートリイに同情することができました。 その理由は・・。 カラマーゾフの兄弟 3 (岩波…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟 第二巻」

やっと2巻を終えました。 じっくりと読んでいるとなかなか進みません。 1回目には理解出来なかった「大審問官」や、ゾシマ長老の最後の言葉等が、少し深く理解できたように思います。 ゾシマ長老の物語は、入れ子構造になっていて、しかも人を引き付ける内容…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟 第一巻」

2回目のカラマーゾフの兄弟です。 1回目は新潮文庫でしたが、今回は岩波で。 訳が古いので、難しい言葉もいくつかありますが、理解できないレベルではありませんでした。 1回目は人間関係を把握するのに大変で、そんなに細かいところまで理解できていなかっ…

井上靖「わが母の記」

母親について、愛情を込めながら、同時に老いるということについて考えている作品です。 ゆくゆくは皆が通る道である。 そして、年齢を重ねるにつれ実感をする。 60歳の著者が80代の母親を見る目はどういうものか。 日常は大変なことばかりだと想像できるが…

左巻健男「ウンチのうんちく」

腸内細菌のことについて知りたくて、調べていたらこの本に行きあたりました。 うんちのことだけでなく、消化、吸収に関する様々なことが掲載されています。 ・宿便は存在しない。 ダイエットの広告に要注意。 ・腸内には1,000種類、100兆個程度の最近がいる…

中島ちさ子「人生を変える「数学」そして「音楽」」

平均律について詳しく知りたくて読みました。 ただ、音楽と数学がどっぷり関係している箇所は少なく(7章、8章)、どちらかというと接するスタンスとして似ている、という内容でした。 音楽の数学的要素をもう少し深く知りたかったんですが・・。 それでも、な…

さつき と めい

他にどんな使い方があるんでしょうか。 独り暮らしをしていた時に、上に住んでいた何回も同じ学年をやっている人が、 「トイレって斜めにたたくときれいにスパッと割れるんだよ」 と言っていました。 本当かどうか確かめたことがないので、あれから20年以上…

ポール・オースター「ミスター・ヴァーティゴ」

空を飛ぶ? 出だしはいつものオースターさんとは違う作品かと思いました。 でも読み続けて思ったのは、芯は一緒だと思いました。 誰もがかかえる愛する人間を失う痛み。 うまくいかない焦燥感。 でも悪いことは長くは続かない。 かと言って良いことばかりで…

野上弥生子「秀吉と利休」

利休と秀吉の関係を、想像も交えて書いた本。 利休自害の理由は、本当は分かっていないものの、この本の通りであってもおかしくはないかもしれません。 山上宗二が秀吉と再び面会する場面から、だんだんせつなくなってきます。 秀吉は本当は自信がない人だっ…

コニー・ウィリス「犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」

2回目だったからなのか、さらに面白さが増していました。 あっちへ行ったり、こっちに来たり。あれがああなって、これがこうなって。それに歴史が重なります。 書いているときによく混乱しないものだと感心しました。 後半は続きが読みたくてうずうずします…