牟田都子「文にあたる」

何気なく読んだり見たりしている本や雑誌、新聞。多くの人が関わっていることは何となく知っていましたが、校正者という存在を知ったのはいつでしょうか。誤字、脱字を訂正するだけではなく、もっと大きな視点から文章を確認します。 牟田さんは偶然校正とい…

味噌の話

人生で初めてのことはそれがどんな些細なことでもワクワクするものですね。昨年は知り合いの先生にいろいろとお膳立てしてもらい、味噌作りをしてみました。 気軽に挑戦できる丈夫で透明な袋が入れ物でしたので、発酵していく色の様子をまじまじと観察できて…

滝沢秀一「このゴミは収集できません」

先日、静岡県三島市が粗大ごみをメルカリに出品する、というニュースを耳にしました。三島市の最終処分場はほぼ満杯で、年間約8000万円を使って県外の施設に焼却灰を搬出しているそうです。使えるものは誰かに利用してもらった方が、環境にも税金にも優しく…

フランツ・カフカ「雑種」

誰の言葉だったか忘れてしまいましたが、「カフカを読んだから小説が書けるようになった」と言っていた人がいます。(ガルシア・マルケスかも) その意味がよくわかります。100年以上前にこんなにぶっ飛んだ小説を書く人はあまりいなかったでしょう。そこま…

する、しない。

こちらに掲載されている伊藤まさこさんのキッチンを見た瞬間、お掃除ヤル気スイッチが入りました。 おかげで理想にまた一歩、近づけたような。ある段階まで来ると、種々のヤル気スイッチも慣れや条件が発生してしまい、刺激されにくくなるところをグッと踏み…

ガルシア・マルケス「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」

人前で話すことがあまり好きではなかったガルシア・マルケスさん。それでも人々はノーベル賞作家の言葉を聞きたがります。生涯で20回と少しだけ、人前で講演をしました。この本はその記録です。 芸術方面に多大な関心を寄せるとともに、中央アメリカ、南アメ…

カレル・チャペック「園芸家12ヶ月」

プランターで夏野菜を作っていると、だんだん土づくりに興味が出てきます。土がうまくできた年ほど収穫量も上がる気がしています。 秋、冬にかけて、生ごみをプランターに投入します。コンポストほど早くはありませんが、微生物がしっかりと仕事をします。数…

2024年1月の予定

2024年1月の予定です。 年始の営業は1月10日からです。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただ…

素人

「私語厳禁!」頑固親父的張り紙のお店にするつもりはありませんが、「読書空間ひつじ日和」としましては、そこに居合わせた者が互いに配慮し合えるような、ぬくもりあるお店がいいなあと思っています。 本を読む空間という意味においても、本に出会う空間と…

「オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子」

オスカー・ワイルドの童話3話と短編2話。短編2話は、当時なぜオスカー・ワイルドが人気だったのか納得するくらい興味深い作品でした。 ミステリーとユーモアと最先端の科学が少しずつ入っています。 このショートセレクションシリーズは、その作者の入口にぴ…

アンヌ・レエ「エリック・サティ」

不思議な人、エリック・サティ。良寛さんのように子供たちに優しく、普段からよく歩き、曲に変なタイトルを付け、楽譜に風変りな注意書きを残し、なのに魅力的な曲を数多く創り出し、人々から好かれたり、嫌われたり。 変なタイトルの曲「犬のためのぶよぶよ…

手紙

(冬の落葉松の並木道) 本日いい気分にて、“太宰さんを好き” なので「愛と苦悩の手紙 君を思い 思うことあり」を読んでみました。 膨大なお手紙、あちらへこちらへ。この方、もし今生きていたらLINEだかメッセージだか、ぴこぴこ鳴り止まないのでは。 暗い戦…

奥田英朗「我が家のヒミツ」

もし妻が突然市議会議員選挙に「出馬する」と言いだしたら。もし同期が出世し、自分が関連企業に出向となってしまったら。もし妻が隣に住んでいる人の様子をうかがい「怪しい」と言い出したら。もし娘が突然留学したいと言い出したら。もし職場に有名人がや…

ジョージ・オーウェル「動物農園」

イギリスの田舎の農園。動物たちは幸せに暮らしているようです。 ある日、自分たちは人間に搾取されているのではと気が付きます。よりよい生活をするために動物たちが実行したことは何か。 自由とは、国家とは、リーダーとは。 フェイクニュースをそれと見破…

カエルの王さま

「蛙化する」という表現を若い子たちがするという話を聞きました。「好意を持つ相手の些細な言動がきっかけで急に冷める」みたいな現象らしいですね。 グリム童話が由来と知り読んでみましたら、本来のストーリーはまた違った感じでした。美しい姫の蛙に対す…

原田マハ「ジヴェルニーの食卓」

道具が進化するに伴って変化していくことがあります。通信、交通、決済など少し考えただけでも様々な例が挙げられます。 19世紀末にチューブ入りの絵の具が売られるようになり、外で絵を描くことができるようになりました。そこから印象派と呼ばれる人達が増…

羽根田治「パイヌカジ 小さな鳩間島の豊かなな暮らし」

南の島に惹かれてしまうのはなぜでしょう。 沖縄八重山諸島には様々な島があります。二つの大きな島、石垣島、西表島。リゾート地で聞いたことのある小浜島。水牛車でおなじみの竹富島。 西表島の北方に小さな島があります。1周4km程度、人口は50人程度。鳩…

パズル

こちらのモネちゃん、よ〜く見ますと極小1000ピースのパズルです。大晦日、唐突に挑戦したくなりました。せっかくならネット購入しないで、地元にパズルの専門店はないか探しました。「冬休みにやりたい人がいるから、暮れも休まないんだよ。」と仰る店主。…

酒井隆史「ブルシット・ジョブの謎」

デヴィッド・グレーバーさんが書いた本「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」はとても良い内容ですし、できれば多くの人に手に取っていただきたいのですが、その分量と(585ページ)と値段(4,070円)のため、躊躇してしまう本でもあります。 この…

お茶の話(まとめ)

お茶の話の記事をまとめました。 2023年1月に初めて志田島園さんに行きました。その時の様子を「お茶の話1」と「お茶の話2」に掲載しました。 hitsujibiyori.hatenablog.com hitsujibiyori.hatenablog.com 2023年3月に志田島園さんを再び訪問しました。その…

夏目漱石「思い出す事など」

夏目漱石の本の中でも、この新潮文庫の「文鳥・夢十夜」はわりと好きな部類に入ります。 その理由はエッセイのような、日記のような、短編のような小さな作品がたくさん入っているからです。 「鳥を御飼いなさい」から始まる「文鳥」。ロンドンや日本を舞台…

檸檬

いただいた檸檬が艶々とあまりにも美しいのでつい一枚。この子本当に檸檬なの⁈というくらいの美味しさなのです。去年も同じく感動して、実は種子から育成しております。一年たったのがこちらです。うふふ♪ 檸檬(新潮文庫) 作者:梶井基次郎 新潮社 Amazon …

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー「一市民の反抗 良心の声に従う自由と権利」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの魅力は頑なではないところです。原理主義的に思っていることを押し通し、相手をコテンパンにやっつけてしまうことは一切ありません。思想も行動もとても自由で柔軟です。 子供たちに人気があったり、ガンディーがこの本を読…

新年

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。新しい年を迎えて清らかな気持ちの朝。自分の内に既にあるものを信頼し、静かな心で日々を過ごせますように。 2024年 元旦 読書空間 ひつじ日和

解放

日々の暮らしや読書で感じる心の動きを観察しながら過ごした一年が終わります。怒りやその奥の哀しみ、恐れ、欲望など。ある程度はおそうじ済みのつもりが、予測しないところからも浮かび上がってきたりして。種々の感情がみつかった先の解放感を味わいまし…

岡本太郎「芸術と青春」

岡本太郎さんがパリに住んでいた頃のことを思い出して記したもの、両親について、等、エッセイ集です。 やはり普通ではない何かを発している内容が大部分ですが、一人旅の時に孤独で寂しいと思っていたことに安堵したりもしました。 この方が5年間も軍隊生活…

ドナルド・キーン「正岡子規」

正岡子規の人生は流れ星のようです。短いけれども眩しいくらいに燃焼します。 頑固な面もありそうですが、考えをすぐに改めることのできる柔軟性もありました。 好きなことには熱中するけれども、興味が無くなるとすぐに投げ出します。(誰でもそうかもしれま…

2023年12月の予定

2023年12月の予定です。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただけますとうれしいです。) 読書空…

Merry Christmas

クリスマスにふさわしく「愛とやさしさのことば」を開いてみました。 〈 人はいつの日か 風を、波を、潮を、引力を征服したあかつきに 人間は愛を エネルギー源とするでしょう そのとき、人間はふたたび 火を発見するでしょう 〉 シャルダンという、昔の人の…

茨木のり子「倚りかからず」

愛と自由を感じる作品。茨木のり子さんが73歳で刊行しました。 何かをやる時に、できるだけ独力でやってみることは重要だと思います。倚りかからずに。そこからきっと得る物があるでしょう。もし躓いてしまってから助けを求めても遅くはありません。 「お休…