2024-01-01から1年間の記事一覧

出張

富士山からの清き流れに目を奪われて始まった朝。思いがけず富士宮にて、初めて出張本屋さんになりました。ホールアースデイというイベントに参加させてもらったのです。 やったことのないことをやってみる面白さだけでなく、ご来場者に予想以上に多くの本に…

MY TIME

(このところ毎週こちらで美しい夕日を) 〈命とは実は時間だ〉という、どなたかの言葉が頭に残り、自分の時間=命、の使い方が益々大事だと思うようになりました。二十代のような投げやり(ヤケクソ)な時間の使い方は、幸せには程遠いあり方でした。 持ち時間…

白井健太郎「クックマートの競争戦略」

クックマートが浜松に何店舗かできました。豊橋を拠点とする食品スーパーです。 他のスーパーを利用していたので、初めて行ったのは3年ほど前。それからずっとクックマートです。 生鮮食品がおいしいことと、働いている人がたくさんいてレジ待ち時間がとても…

池上彰「おとなの教養」

知識の増え方は雪だるま式だと思います。最初はなかなか大きくなりませんが、あるポイントを超えるとどんどん膨らんでゆきます。それは人生の楽しみでもあり、豊かさにつながります。 池上さんが教養について、そして教養の一部をやさしく講義します。内容は…

ひとりの時間

ひとりの時間にぴったりの本をみつけました。きっと素敵な方はみな、こんな風にひとりの時間を大切にしているのでしょう。 難しくせず誰にでもわかる言葉で語りかけて下さるのがうれしいです。深いやさしさを感じます。 矢作先生の若々しさの秘密も、この本…

エーメ「壁抜け男」

初めて読みました。マルセル・エーメ。1900年代前半に活躍した人です。 驚き、滑稽、切なさ、など様々な要素が詰まっている、先が気になる作品ばかり。 かなり変わっているけれど貧乏人に優しい古道具屋店主。子どもの代わりに作文を書く父親。パラレルワー…

パウロ・コエーリョ「賢人の視点」

ガルシア・マルケスに続いて南米の作家パウロ・コエーリョの本です。 ご自身の「経験や、誰かから教わった話、人生という川の流れを旅するなかで考えたことなどが集められて」います。 一つ一つは1ページから長くても5ページほど。 すぐに読めるけれどそのと…

羨望

〈他者に理解されることを目的としない心の声は、散文よりも詩の形に近くなる〉という背表紙の文言に誘われて「停電の夜に」のジュンパ・ラヒリさんの本を手にとりました。 詩集?自伝?創作?母国語ではないイタリア語。ローマのアパートの古い机の奥から出…

司馬遼太郎「街道をゆく39 ニューヨーク散歩」

司馬遼太郎さんがニューヨーク行きました。出会う人、行く場所がとても魅力的に思えます。それは司馬遼太郎さんの、人を信じて良い所を見つけ出す能力、そして豊富な知識がそうさせているのではと感じます。 運転手のマクドナルド氏、案内の平川氏、ドナルド…

牟田都子「文にあたる」

何気なく読んだり見たりしている本や雑誌、新聞。多くの人が関わっていることは何となく知っていましたが、校正者という存在を知ったのはいつでしょうか。誤字、脱字を訂正するだけではなく、もっと大きな視点から文章を確認します。 牟田さんは偶然校正とい…

味噌の話

人生で初めてのことはそれがどんな些細なことでもワクワクするものですね。昨年は知り合いの先生にいろいろとお膳立てしてもらい、味噌作りをしてみました。 気軽に挑戦できる丈夫で透明な袋が入れ物でしたので、発酵していく色の様子をまじまじと観察できて…

滝沢秀一「このゴミは収集できません」

先日、静岡県三島市が粗大ごみをメルカリに出品する、というニュースを耳にしました。三島市の最終処分場はほぼ満杯で、年間約8000万円を使って県外の施設に焼却灰を搬出しているそうです。使えるものは誰かに利用してもらった方が、環境にも税金にも優しく…

フランツ・カフカ「雑種」

誰の言葉だったか忘れてしまいましたが、「カフカを読んだから小説が書けるようになった」と言っていた人がいます。(ガルシア・マルケスかも) その意味がよくわかります。100年以上前にこんなにぶっ飛んだ小説を書く人はあまりいなかったでしょう。そこま…

する、しない。

こちらに掲載されている伊藤まさこさんのキッチンを見た瞬間、お掃除ヤル気スイッチが入りました。 おかげで理想にまた一歩、近づけたような。ある段階まで来ると、種々のヤル気スイッチも慣れや条件が発生してしまい、刺激されにくくなるところをグッと踏み…

ガルシア・マルケス「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」

人前で話すことがあまり好きではなかったガルシア・マルケスさん。それでも人々はノーベル賞作家の言葉を聞きたがります。生涯で20回と少しだけ、人前で講演をしました。この本はその記録です。 芸術方面に多大な関心を寄せるとともに、中央アメリカ、南アメ…

カレル・チャペック「園芸家12ヶ月」

プランターで夏野菜を作っていると、だんだん土づくりに興味が出てきます。土がうまくできた年ほど収穫量も上がる気がしています。 秋、冬にかけて、生ごみをプランターに投入します。コンポストほど早くはありませんが、微生物がしっかりと仕事をします。数…

2024年1月の予定

2024年1月の予定です。 年始の営業は1月10日からです。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただ…

素人

「私語厳禁!」頑固親父的張り紙のお店にするつもりはありませんが、「読書空間ひつじ日和」としましては、そこに居合わせた者が互いに配慮し合えるような、ぬくもりあるお店がいいなあと思っています。 本を読む空間という意味においても、本に出会う空間と…

「オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子」

オスカー・ワイルドの童話3話と短編2話。短編2話は、当時なぜオスカー・ワイルドが人気だったのか納得するくらい興味深い作品でした。 ミステリーとユーモアと最先端の科学が少しずつ入っています。 このショートセレクションシリーズは、その作者の入口にぴ…

アンヌ・レエ「エリック・サティ」

不思議な人、エリック・サティ。良寛さんのように子供たちに優しく、普段からよく歩き、曲に変なタイトルを付け、楽譜に風変りな注意書きを残し、なのに魅力的な曲を数多く創り出し、人々から好かれたり、嫌われたり。 変なタイトルの曲「犬のためのぶよぶよ…

手紙

(冬の落葉松の並木道) 本日いい気分にて、“太宰さんを好き” なので「愛と苦悩の手紙 君を思い 思うことあり」を読んでみました。 膨大なお手紙、あちらへこちらへ。この方、もし今生きていたらLINEだかメッセージだか、ぴこぴこ鳴り止まないのでは。 暗い戦…

奥田英朗「我が家のヒミツ」

もし妻が突然市議会議員選挙に「出馬する」と言いだしたら。もし同期が出世し、自分が関連企業に出向となってしまったら。もし妻が隣に住んでいる人の様子をうかがい「怪しい」と言い出したら。もし娘が突然留学したいと言い出したら。もし職場に有名人がや…

ジョージ・オーウェル「動物農園」

イギリスの田舎の農園。動物たちは幸せに暮らしているようです。 ある日、自分たちは人間に搾取されているのではと気が付きます。よりよい生活をするために動物たちが実行したことは何か。 自由とは、国家とは、リーダーとは。 フェイクニュースをそれと見破…

カエルの王さま

「蛙化する」という表現を若い子たちがするという話を聞きました。「好意を持つ相手の些細な言動がきっかけで急に冷める」みたいな現象らしいですね。 グリム童話が由来と知り読んでみましたら、本来のストーリーはまた違った感じでした。美しい姫の蛙に対す…

原田マハ「ジヴェルニーの食卓」

道具が進化するに伴って変化していくことがあります。通信、交通、決済など少し考えただけでも様々な例が挙げられます。 19世紀末にチューブ入りの絵の具が売られるようになり、外で絵を描くことができるようになりました。そこから印象派と呼ばれる人達が増…

羽根田治「パイヌカジ 小さな鳩間島の豊かなな暮らし」

南の島に惹かれてしまうのはなぜでしょう。 沖縄八重山諸島には様々な島があります。二つの大きな島、石垣島、西表島。リゾート地で聞いたことのある小浜島。水牛車でおなじみの竹富島。 西表島の北方に小さな島があります。1周4km程度、人口は50人程度。鳩…

パズル

こちらのモネちゃん、よ〜く見ますと極小1000ピースのパズルです。大晦日、唐突に挑戦したくなりました。せっかくならネット購入しないで、地元にパズルの専門店はないか探しました。「冬休みにやりたい人がいるから、暮れも休まないんだよ。」と仰る店主。…

酒井隆史「ブルシット・ジョブの謎」

デヴィッド・グレーバーさんが書いた本「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」はとても良い内容ですし、できれば多くの人に手に取っていただきたいのですが、その分量と(585ページ)と値段(4,070円)のため、躊躇してしまう本でもあります。 この…

夏目漱石「思い出す事など」

夏目漱石の本の中でも、この新潮文庫の「文鳥・夢十夜」はわりと好きな部類に入ります。 その理由はエッセイのような、日記のような、短編のような小さな作品がたくさん入っているからです。 「鳥を御飼いなさい」から始まる「文鳥」。ロンドンや日本を舞台…

檸檬

いただいた檸檬が艶々とあまりにも美しいのでつい一枚。この子本当に檸檬なの⁈というくらいの美味しさなのです。去年も同じく感動して、実は種子から育成しております。一年たったのがこちらです。うふふ♪ 檸檬(新潮文庫) 作者:梶井基次郎 新潮社 Amazon …