読んだ本のメモ(書棚担当)

夏目漱石「二百十日・野分」

定期的に読みたくなる夏目漱石。「漱石先生ぞな、もし」で読みたい気持ちが加速してしまいました。 特にこの二作品(「二百十日」「野分」)を。 夏目漱石の権力や地位に対する批判的な思想を垣間見ることのできる作品です。 「二百十日」の圭さんは言いました…

白鯨の行方

長くて、時には難しく、時には愉快に進む本でした。白鯨の話はほんの少し。あとは捕鯨に関する豆知識がたくさん詰まった本でした。歴史、宗教、地理、科学、航海、捕鯨・解体技術等々。小説というよりは、当時(1800年代中盤)の捕鯨に関するエッセイみたいな…

読書

若い頃、このままで良いのか、という漠然とした不安感を持った時に本を読んでいたことがあります。読んだからと言ってすぐに何かが変わったわけではなりませんが。 それでも長い時間軸で考えると、ああそうか、と思うことが多くなったように思います。 スポ…

学び

人類がここまで文明を発達させてきた大きな理由の一つが「学び」でしょう。学び、他人に伝え、改良が加えられます。それを学んだ人がまた工夫をし、螺旋階段を上るようにゆっくりと変化していきます。 人間には学ぶことに対する喜びが備わっています。方って…

白鯨

ジョン万次郎が漂流したときに、偶然通りかかったのがアメリカの捕鯨船でした。当時鎖国をしていた日本には戻れないため、アメリカに向かう選択をします。到着した街がニュー・ベッドフォード。この物語もニュー・ベッドフォードから始まります。 1800年代、…

人間とは何か

先日娘が質問をしてきました。「趣味は何?」と。 即答できずに少し考えてしまいました。読書かと聞かれましたが、本を読むことそのものが趣味ではありません。 数日後、おそらくこれが答えに近いであろうことに至りました。 ここ何年も人間とは何かを知り、…

八ヶ岳西麓への移住

田舎の小学校に都会からの転校生が来ると、同じ日本人とは思えないような感覚に陥りました。きっとこの土地では誰も知らないことを知っているのでは、みたいな意識でしょうか。少し距離を取って接していた人が多かった気がします。その時は何も考えていませ…

音楽と生命

ニューヨークにゆかりのあるお二人が対談をしました。音楽家 坂本龍一。分子生物学者 福岡伸一。 ロゴスと自然(ピュシス)を中心に据え、生命と音楽について語ります。 「ロゴスは人間の考え方、言葉、論理といったもの」です。 歳を重ねるについて、しだいに…

本について

日本全国には様々な本屋さんがあります。大小にかかわらず、どの棚も独特なはずです。そして小さければ小さいほど偏りが大きく面白いと感じるようになるのではないでしょうか。 可能であればここに出てくる本屋の棚をゆっくりと眺めてみたい。知らない本ばか…

「命の政治学 リーダーは「コトバ」をもっている」

まずこの本では「コトバ」につて定義します。 「コトバ」は「言葉」とは異なり「その人の態度や存在そのものから、言葉の意味を超えた何かが伝わってくるようなもの」。 これは哲学者の井筒俊彦さんが名付けました。 そして「いのち」。 「肉体的な生命を指…

未来の作り方

個人の小さな力で、世の中を少しずつ変えていくことは可能なのでしょうか。防衛費が増額されてしまったり、選挙に行っても何も変わらなかったり。そう思ってしまうのも無理はありません。でもその小さな行動の積み重ねが大きなうねりとなり、世の中を動かす…

漂流者

まだ蒸気機関が無く、風にまかせて舟を動かしていた時代には、漂流は日常茶飯事だったことでしょう。台風の存在も知らなかったでしょうし、ましてや予報なんて。 江戸時代末期に遭難、漂流してしまい、運よくアメリカに辿り着いたジョン万次郎。アメリカでの…

ファックスについて

3年前、新型コロナウイルスの発生報告にファックスを使用しているという報道がありました。今更ファックス、という反応が結構あったかと思いますが、ファックスがまだまだ利用されているという業種は多いのではないでしょうか。 特に人が体を動かすことがメ…

オノ・ヨーコ「グレープフルーツ・ジュース」

ある人の思考はその人がたどってきた人生によるものだと思います。その結果似たような発想をし、同じような言葉遣いをしているはずです。 枠から外れたことばたちは新鮮で、時には心の奥底をぐちゃぐちゃとかき回します。平易なことばであればあるほど混沌と…

微生物

見えないけれどいつもそばにいる微生物。人間は微生物無しでは生きて行けません。皮膚にも消化器官にもたくさん住んでいて、微生物からの贈り物を日々受け取っています。発酵食品は長きにわたり微生物と人類が仲良くやってきた証拠です。 この4年弱の消毒生…

ドキュメント御嶽山大噴火

2014年9月27日土曜日。秋晴れ。絶好の登山日和です。3000mありながら比較的に容易に登ることのできる御嶽山。あまり経験が無い人達もたくさん頂上を目指しました。 火山性地震は少し気になる程度。かといってまだ規制をかけるほどではありません。 そんな中…

ツベルクリン反応

小学生の時です。当時は学校で集団予防接種をやっていました。少し恐怖を感じながら順番待ちをし、先に終えた笑顔友達を羨まし気にながめていました。。中には泣いてしまう子も。 はんこ注射(BCG)の時です。なぜか受けなくて良い事になりました。免除された…

植物の体の中では何が起こっているのか

植物には不思議がいっぱいです。同じ種類の花が同時に咲いたり。葉っぱを水に浸しておくと根が出たり。茎を途中で切ってもまた芽が出てきたり。 何年か前、胡瓜の苗を植えたその夜、強風が吹いて茎が折れてしまいました。皮一枚程度でつながっている状態です…

三浦丈典「こっそりごっそりまちをかえよう。」

世界中の人がアメリカ人と同じような浪費生活を行うとすれば、地球が5.6個必要です。10年前の本なので、今はもしかしたら7個分くらい必要になっているかもしれません。 そんな状況を街をテーマに思考実験をしながら学ぶことができます。 例えば「歩いて行け…

ないもの、あります

謎の会社、クラフト・エヴィング商會。この会社がありそうでないものを作ってしまいます。 例えば、地獄耳。例えば、思う壺。 欲しいものもあれば、それほどと思う物もいくつか。 一度使ってみたいのは「おかんむり」。人々の反応を観察してみたいです。 こ…

浅生鴨「どこでもない場所」

クリスマスの日に海外で道に迷ったり、小学生から残念な人だと言われたり、初めて歯医者に行ったり、飛行機や新幹線で背もたれを倒せない浅生鴨さん。経歴豊かで、充実そうな人生を送っていらっしゃいます。でもその裏では様々な葛藤がありました。若い頃か…

大石直紀「杉原千畝」

杉原千畝のやったことが概要的に理解できる本でした。外務省の許可なくあの枚数のビザを発行することはとてつもない勇気が必要です。きっと葛藤があったことでしょう。そして時代が混乱していることも後押ししているように思います。 杉原千畝と同様に称賛さ…

佐藤泰志「海炭市叙景」

世の中の景気が良くなると、古いものは捨てられ、新しいものが採用されます。それは街並みも一緒です。古きものは解体され、打ち捨てられます。より大きいもの、より力のあるものに取って代わられてしまいます。小さく弱いものは生存できません。現在の地方…

三木那由他「言葉の展望台」

何かを頼んでくるときに、「先生、先生」とごまをするようにお願いしてくる人が苦手でした。先生と持ち上げておけば何でも聞いてくれそう、と思われていたのかもしれません。ちっとも先生ではないのに。 三木那由他さんも「先生」という言葉にもやもやしてい…

ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳」

人間の体は不思議なことばかりですが、その中でも脳は突出して神秘的です。何かがインプットされると瞬時に働いてアウトプットします。特に感情のようなものはどのような原理から来ているのでしょうか。 まだ未知な部分が多い脳ですが、脳科学者であればわか…

ラブカ

ラブカ鮫です。食べると美味しいみたいです。駿河湾にも生息しサクラエビも好物のようです。歯は三叉フォークのようで、それが大量にあり、噛まれたら大変です。現在生きている鮫ではラブカだけの特別な歯なんだとか。 チェロバッハの無伴奏チェロ組曲は魅力…

似ていることば

何気なく話している日本語。区別なく遣ってしまっている言葉が結構あります。例えば、舟と船 交ぜると混ぜる 使用と利用。今変換して思ったのが、使うと遣う。 実はちゃんと違いがあります。似ているものには訳がある、ですね。(NHK ミミクリーズより) 似て…

未来に本当に必要なものは何か

今後の日本に必要な社会的インフラストラクチャーは何でしょうか。その指針の一つとして人々の幸福の最大公約数が高いことが挙げられると思います。人口が減っていく社会を認め、多くの人々ができるだけ負担なく、穏やかに暮らせること。 現在建設中のリニア…

庄野雄治 編「コーヒーと短編」

先日読んだ庄野雄治さんのエッセイが心に沁みたので、短編も書いているのか、と思って読み始めた本です。 ところがこれが勘違いで、庄野雄治さんが選んだ短編集でした。選択基準は「ずっと昔から読まれていて、百年後にもよまれているであろう作品たち」だそ…

白石仁章「情報に賭けた外交官 杉原千畝」

現在の日本では移民がかなり制限されています。特に難民となるとほとんど拒否しているといった状況です。 確かに言葉も通じない人達が近くに住んでいたら怖いと思うはずです。でも同じ人間です。交流すればきっと良い関係を築くことが出来るはずです。 第二…