2022-01-01から1年間の記事一覧

オージャス

(エネルギーがあふれ出てそう⁈な火口) オージャスとは、インドで古くから伝承されてきたアーユルヴェーダによりますと、私たちの内側にある「生命エネルギー」のことだそうです。 オージャスにあふれた人は健康でハッピー。 身のまわりの輝いている人はみん…

ジョン・パウエル「響きの科学」

この世界は音で溢れています。 鳥やカラスの声、車の音、風が何かを揺らす音、遠くの方でするホワイトノイズのような音。 同じ空気の振動なのに音楽はすぐにそれと分かります。 ただの物理現象なのに心を揺さぶられます。 それもほんの数分で。 音楽を科学的…

ヴァレリー・ハブス「ぼくの羊をさがして」

主人公は羊ではなく、犬でした。 牧羊犬、ボーダーコリーの子犬です。 昔、白い秋田犬を飼っていたことがあります。 ある日首輪を外してどこかへ行ってしまいました。 あまり懸命に探した覚えはありません。 お腹を空かせて帰って来るだろう、と。 予想通り…

小川洋子「科学の扉をノックする」

海辺を散歩していたときのことです。 波が引いている時に何か動くものを見つけました。 すぐに砂にかくれてしまいます。 小石を生物と間違えてしまったのかも。 そう思っているとまた動きました。 今度は砂を掘ってみます。 やっぱりちいさな生物でした。 調…

梨木 香歩「やがて満ちてくる光の」

この世界の現象は波の動きをしていたり、波で表されるものがあります。 お腹や頭の痛みも波があります。 スポーツをやっていると好不調の波を感じます。 気分も波と言います。 仕事をしているとなぜか同じタイミングでたくさんの事が押し寄せます。 まるで大…

十三夜

(こちらは上弦さん) 「中秋の名月だけを愛でるのは片月見だから、後の名月にあたる十三夜のお月見をお忘れなく」と聞きました。 月の呼び名もいろいろ、ああややこしい。 忘れものなく季節を過ごすのは何やら大変そうですねぇ。 芋名月(先月の十五夜)栗名月(…

堀江敏幸「その姿の消し方」

もう何年も前ですが、古道具屋さんでとても古いハガキを購入したことがあります。 セピア色のひつじの写真にとても惹かれ、全く読めない文字からも想像力を掻き立てる何かがありました。 いつの時代に誰が何を書いたのでしょうか。 同じように古いハガキをき…

おいしいは嬉しい。

暮らしまわりのことは、繰り返す毎日の中でいつのまにか自分なりのやり方ですっかり落ち着き、その類いの情報はお腹いっぱいになっていました。 夢見がちな若い頃の方が、理想の暮らしや手本を熱心に探していたように思います。 とはいえ、エンドレスな家事…

鎌田東二「南方熊楠と宮沢賢治」

ハレー彗星を肉眼で見た経験のある人はかなり少ないでしょう。 前回1986年から36年、次回2061年まで39年。 1986年のハレー彗星は、楽しみにしていた割りには見えず、がっかりした記憶があります。 調べてみると過去2000年で最も観測し難い年だったようです。…

チェスワフ・ミウォシュ「世界 ポエマ・ナイヴネ」

初めて地下鉄に乗ったのは、確か中学生の時だったでしょうか。 暗くてなんとなく陰気で怖かった印象があります。 大人になると平気ですが、平気でいられるのは根拠の無い信頼みたいなものだけです。 東京の地下断面はきっとカイメンのように空洞だらけで、信…

典座

典座(てんぞ)とは、禅宗のお寺の食事係。 修行に励む雲水や参拝者に、きめ細やかな配慮をして精進料理を提供します。 料理する者の心得は、喜心(喜び感謝する心)、老心(子を思う慈しみの心、食材や物を大切に扱い動作も丁寧に)、大心(偏ったり、とらわれたり…

2022年9月の予定

2022年9月の予定です。 営業時間:10時頃~16時頃 おやすみ:土曜日・日曜日・祝日(19日、23日) 書籍目的だけのご来店も大歓迎です。 (タップorクリックで拡大します。) 読書空間 ひつじ日和

「虚数がよくわかる」

数というのはとても不思議です。 素数、エマープ、完全数、友愛数・・・。 人間が勝手に定義して使っているのに、誰かが最初から整理整頓をして考え出したようなふるまいをします。 円周率やeや虚数なんて、出身が違うのに最初から顔見知りのようです。 オイ…

吉田篤弘「遠くの街に犬の吠える」

不思議なエピソードが重畳してゆき、ふわふわとした気分になります。 雨の音でなんとなく意識が戻ってきたその夜、屋上のことと天狗のことについて、半分夢の中でぼんやり考えていました。 屋上と天狗がこの物語の薬味となっています。 天狗が外国人だったの…

街と山のあいだ

ずっと気になっていた本を開きました。 ひっそりと贅沢な装丁。 予想どおり大満足の随筆でした。 ページをめくる度にいい香りがします。 素朴な紙質が香るこまやかな本です。 私はどちらかといえば街育ち海寄り。 山や自然に強く惹かれる気持ちもありつつ、…

若松英輔「考える教室 大人のための哲学入門」

哲学と聞くと、難しそうですし苦手意識を持ってしまいます。 文字からも堅苦しい雰囲気が伝わってきます。 この本を読むと誰もが哲学をしていることが分かります。 人生について、仕事について、生きる意味について、人間関係について。 「早く分かる」より…

帚木蓬生「ネガティブ・ケイパビリティ」

資本主義の問題の一つは、拡大し続けないといけないという幻想に囚われていることでしょうか。 拡大するには時間を細分化し、興味関心を惹くために常に新しい何かを考えなければなりません。 これに対応できる人が優秀な人であり、そうでない人は落ちこぼれ…

福井県立図書館「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」

娘が質問してきたことがあります。 「何とかくさこっていう本知ってる?」 「知らないなぁ。どんな本?」 「昔の本で・・・」 よくよく聞いてみると「枕草子」のようです。 確かに”くさこ”ですね。 楽しいのに図書館で働く人たちにとっては実用的なデータベ…

いちじく2

(さるすべりの並木) 山猫画句帖の秋にこんな句がありました。 「無花果の艶の在り処を頬ばりぬ」 ちょうどお買い物で二週連続で完熟のいちじくをみつけて満足していたところでした。 今年は完全なひとりじめには失敗。 食いしん坊で勘の良い末っ子ちゃんが、…

(このシリーズはどれも素敵なギフトに♡) 月はいいものだとばかり思っていましたが、別の一面を知った頃からは月見を楽しむ一方、ほんの少し緊張感を持って眺めています。 満ち欠けの影響を受けてしまう繊細な方もいらっしゃると思います。 月(ルナ)を語源と…

「1日10分のしあわせ」

待ち遠しい時の10分は長く感じます。 何かに夢中になっている時はあっという間です。 退屈な授業の時はどうしてこんなに時計の針は遅いのだろうと思ったりもしました。 10分あれば何ができるでしょうか。 こどもたちは10分歩いて登校します。 わが家の掃除機…

福岡伸一「フェルメール 隠された次元」

写真の無い時代に、写真のような絵を描いたフェルメール。 まだまだ謎がたくさんあります。 本当にフェルメールが描いた絵なのか、判明していないものもあります。 本物か、偽物か判断するためにどうしたら良いでしょうか。 筆遣いやサインも判断材料ですが…

「1日10分のごほうび」

海岸を歩いていると様々なものが落ちています。 貝殻も良いのですが魅力的なのがガラスのかけら。 地上で割れるときは鋭利な角ばかりで、うっかりさわるとケガをします。 それが海では丸みを帯び、マットな色調が興味をそそります。 10分程度で読める短編が1…

スティーヴン・ウィット「誰が音楽をタダにした?」

2000年代初頭のことです。 使っていたポータブルMDプレーヤーが壊れてしまい、買い替えを考えていました。 電気屋さんで目に入ったのがiPod。 圧縮した曲を大容量のハードディスクに入れるとのこと。 自宅のMDコンポも調子悪いし、なんとなくMDの時代が終わ…

しなやか

しなやかとは、たおやかで優美、落ち着いてしとやかなさま。 憧れるものにはみな、それが含まれていることに今さら気付きました。 例えば… 高1からの親友の雰囲気もそう。 素敵だなと思う方々の話し方。 母がお湯呑みを持つ手の動きとか。 ゆったりなめらか…

小倉ヒラク「発酵文化人類学」

日々口にしている発酵食品。 味噌、醤油、チーズ、鰹節、納豆、ヨーグルト、紅茶・・。 意識せず微生物の恩恵にあずかっています。 一方で、湿度の高い季節はジャムやパンがすぐにカビてしまったりもします。 お風呂場も大変です。 かといって、もし地球上か…

2022年8月の予定

2022年8月の予定です。営業時間:10時頃~16時頃おやすみ:土曜日・日曜日 11日~17日書籍目的だけのご来店も大歓迎です。(タップorクリックで拡大します。)読書空間 ひつじ日和

椎名美智「「させていただく」の使い方」

昔のことです。 「させていただく」の使い方について指摘を受けたことがあります。 その時は何がダメなのかさっぱり分かりませんでした。 今は少し理解したつもりです そして少しでも違和感を持つ人がいる言葉は出来るだけ使わないようにしよう、と思いまし…

避暑地

信州で暮らし始めたばかりの頃、突然できた時間を持て余し、幼い娘と二人だけで季節外れの軽井沢に出掛けたことがあります。 ほんのひと駅ふた駅なのに、軽井沢という響きはずるいです。 夏の日が嘘のように誰もいません。 人混みは嫌いだからこれでいいのだ…

島田潤一郎「あしたから出版社」

「昔日の客」という本を手に取った時、そのたたずまいに魅了されました。 内容にも惹かれ、出版社にも興味を持ちました。 夏葉社。 ホームページを見るとシンプルだけれど誠実さが伝わりました。 「あしたから出版社」は、その夏葉社がどのようにして作られ…